Terakoya Nippon ホームページ開設によせて

TERAKOYA NIPPON PROJECT 共同代表
弁護士 谷口 亨

昨年,大変に江戸文化に造詣の深い行政書士の藤岡みち子先生より,寺子屋について話を聞く機会がありました。

それまでは江戸時代に沢山あった学習塾かなあ,と言う程度の記憶しかありませんでした。

藤岡先生は,江戸時代,子どもたちは寺子屋,手習いにおいて,読み書きを中心に,算数,しつけから地理歴史まで,あらゆることを学び,それが,開国,近代化という大きな海原に漕ぎ出した我が国の,頑強な足腰となったと言っても決して過言ではない,とおっしゃります。

このような話を聞くにつれて,海外の日本語学習者に本を贈るこのプロジェクトに関わる強い気持ちを持つようになり,寄贈するための漫画本などの古本を集める取り組みも始めました。

昨年来,2度フィリピン視察旅行に伺いました。本を寄贈した学校の関係者の方々も,とても寺子屋に関心を示し,フィリピンでも寺子屋を作りたいともおっしゃり,寄贈した本を寺子屋ライブラリーとして下さることになりました。強い足腰を作り,いずれは日本のようになりたいと言われたことを思い出します。

「学ぶ」と言うことは,とれも大事なことで,学ばなければ,人としての尊厳を失ったままで終わることになると思いますが、さらに一つ大事なことがあります。実は,寺子屋で学ぶ子供らの机の向きは,ばらばらであり,一つの方向に向いていないことが判ります。これは現代の詰め込み教育の公教育とは明らかに違います。

教育も知識を詰め込めば良いというものでもないと思います。それではただの奴隷のままではないか,自ら学び,自ら律し(立つ),自学・自律(立)の精神が大事なことと思います。実は,母校県立船橋高校の建学の精神でもあります。

そしてこのような取り組みが,これからの難局を乗り越える,強く明るい足腰になり,やがては日本とアジアを変える一助となればと思い,ここに第一歩を記したいと思います。

                                                 以上